海を渡ってきた我が家のじゅうたん

我が家のじゅうたんははるか中東の地から、空を飛んできたのではなく、はるばる海路で送られてきたものだ。家族の一人が、彼の地に旅行したときに、友人に絨毯屋に連れて行かれて、買ってきたのである。無理矢理に売りつけられたものかもしれないが、その場に居合わせなかった私は、そのへんの事情は知らないでいる。けれども世界でも有名なじゅうたんの産地で買ったものだけあって、それがどんなに大変な作業を経て、作られたかは、私でも察しがつく。このじゅうたんは15年以上経ったいまでも、それがはるばる数ヶ月かけて海を渡って、我が家にたどり着いたときと、ほとんど変わっていないように見える。むしろ我が家のリビングでいっそうの存在感を増して、そこのあるのが当たり前のように存在している。本物の木で作られた天井や柱が時間が経てば経つほどその輝きやつやを増すのにも似て、もし本物のじゅうたんというものがあるとしたら、この異国生まれのカーペットもそうであるにちがいないと、私は思っている。

これは赤色が主体で、そこに黒や緑や薄茶、薄桃などの色で、いかにも中近東らしい唐草模様や花々がびっしりと編み込まれている。素材はやはり中近東ではそこかしこで飼われている羊の毛である。民族衣装をまとった髭面の男たちがはさみでその毛を刈り取り、その毛をベールをかぶった女たちが糸によって、思い思いの色に染めあげ、気の遠くなるような長い時間と手間をかけて、糸を1本1本織り機で丹念に織り上げる。彼の地で私も見たことのあるそんな光景が、砂漠に近い荒涼とした風景や乾いた空気の感触とともに思い出される。じゅうたんがヨーロッパで屋内の床に一般的に使われるようになったのは、わりと最近で18世紀になってからというが、そのルーツは紀元前4000~2000年頃の中央アジアにあるそうだ。してみれば、我が家のものはその発祥の地に近いものといえるだろう。我が家にはこれ以外にも、青色のものもあって、それは2階の寝室で使っている。羊の毛で作られているので、寒い冬には足元を暖かく保つのにも優れている。1枚で十分インテリアになるが、逆にカーテンや家具などがシンプルでないと、趣味の悪いごちゃごちゃのインテリアになってしまうおそれがある。

しかし遊びに来てくれた友人たちには好評で、中には、いいものだと、いとおしそうに表面をなでていた人もいたほどだ。このじゅうたんは一生もの。いや、我が家の宝として、代々受け継がれて行くだろう。。

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